Sunday, April 14, 2013

多価不飽和脂肪酸とフリーラジカル  ~クッキングオイルにこだわる人達~

クッキングオイルにこだわる人達・・・・それぞれの思いがあります。
脂肪酸の種類とフリーラジカルについてまとめました。


【多価不飽和脂肪酸とフリーラジカル  ~PUFA and free adicals~】

脂肪酸は炭素、水素、酸素の3つの元素が鎖状につながった物質で、体の中でだんだんと短くなり、最後は炭酸ガスと水に分解されます。その過程でエネルギーに変わるのです。


●飽和脂肪酸は炭素と水素が全て手をつないで繋がっている状態(飽和状態)で安定していて体内で合成できる脂肪酸。
 → 融点が高いので常温では固体、体内でも固まり易く、中性脂肪やコレステロールを増加させる働きがある 主に動物性の脂肪、ココナッツオイル、パームカーネルオイルなどの熱帯植物の油脂に多く含まれています。

                    
●不飽和脂肪酸は炭素が水素と手をつないでいない部分
(炭素の二重結合)をもっていて、水素が足りない状態で不安定になっている
→常温では液体です。コレステロールを下げる働きがある。主に植物性の油に多く含まれている。

炭素同士が手をつないだ部分が一つの脂肪酸は【一価
不飽和脂肪酸】、2つ以上ある脂肪酸は【多価不飽和脂肪酸】と呼ばれます。

①一価不飽和脂肪酸・・・
炭素の二重結合が1つで体内で合成される脂肪酸。
オメガ9 (n-9系脂肪酸)・・・主にオイレン酸でオリーブオイル、菜種油、アボカドオイルなど。熱による変性が比較的少なく酸化されにくい

②多価不飽和脂肪酸・・・
炭素の二重結合が2つ以上あり体内で合成されない必須脂肪酸なので食事から摂取する必要があります。サフラワー、フラックスオイルに多い。摂りすぎは癌のリスクが高まる可能性あり。

この多価不飽和脂肪酸にはn-6系 とn-3系があります。
 不飽和脂肪酸を化学式で書いたとき、左端にくる炭素から何番目に二重結合が入っているかによって、オメガ3、オメガ6と呼ばれます。

オメガ6(n-6系脂肪酸)・・・リノール酸等。大豆油、コーンオイル、セサミオイルなど。摂り過ぎはアレルギーなどの炎症と関係することから摂りすぎに注意。

・オメガ3(n-3系脂肪酸)・・・DHA EPAなど魚に多い。フラックスオイル、シソ油、エゴマ油など 不足すると皮膚炎を生じる。血中の中性脂肪を下げたり、不整脈を予防したり、血液をさらさらにして動脈硬化を防ぐ効果があり、心筋梗塞のリスクを回避するのにDHAとEPAをきちんと摂取すのがよろしい。

摂取の理想のバランスは
・・・n-6系:n-3系 = 4:1が良いそうです。(厚生労働省)
       
多価不飽和脂肪酸(PUFA):一価不飽和脂肪酸(MUFA):飽和脂肪酸(SFA)=3:4:3で摂るのが望ましいと(厚生労働省)

ちなみにアメリカ2010年のガイドラインは PUFA : MUFA : SFA=24:43:33です。

オメガダイエットという本で地中海沿岸地方の伝統的な食事をする人達には肥満が少なく、一価不飽和脂肪酸はエネルギーとして燃焼しやすく蓄積されにくい脂肪酸の摂取を見習って17:75:8で摂ると良いと。

植物性油脂類多価不飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸不飽和脂肪酸トータル飽和脂肪酸
ココナッツオイル
パームカーネルオイル
オリーブオイル
パームオイル
アボカドオイル
ベジショートニング
ピーナッツオイルカノーラオイル
セサミオイル
コットンシードオイル
ソイビーンオイル
コーンオイル
サンフラワーオイル
グレープシードオイル

フラックスオイル

サフラワーオイル
2%
2%
8%
9%
13%
14%
32%
33%
43%
52%
58%
59%
66%
70%
71%
75%
6%
11%
74%
37%
70%
51%
46%
55%
43%
18%
23%
24%
20%
16%
19%

12%
8%
13%
82%
46%
83%
65%
78%
88%
86%
70%
81%
83%
86%
86%
90%

86%
86%
81%
13%
49%
12%
31%
17%
7%
14%
26%
14%
13%
10%
9%

9%
9%





人間の身体は細胞から出来ていて、その細胞は原子で出来ています。その原子の原子核の周りを電子がまわっている状態で太陽と惑星のようなイメージです。その電子達はいつもペアーになろうとする性質があり、安定している原子から電子を奪い取ろうとするのです。それぞれ電子達は決まった数だけ手を持っていて、電子を取られて手が空いている状態がフリーラジカルです。ペアになっていない不安定な状態の原子、分子のことです。

元素のつながりの一番不安定な多価不飽和脂肪酸がフリーラジカルのターゲットになり易いのです。
フリーラジカルに攻撃された脂肪酸は【過酸化脂質】と呼ばれる有害な脂質に変化します。一度過酸化してしまうとコレステロールやタンパク質も酸化されてしまいます。がん細胞の発生や老化を促進する要因となっています

食事以外でも紫外線、排気ガス、たばこ、肉体的・精神的ストレス、化学合成医薬品、食品添加物など、私たちの身の回りの生活環境や生活習慣なども活性酸素やフリーラジカルの発生と関連しています。

そうさせない為に・・・
フリーラジカルのターゲットになりにくい油を摂るようにしたり、
酸化させない為には抗酸化物質を多く含む食品やビタミン、ミネラル、アミノ酸を多く摂るように心掛けることを忘れない。



フリーラジカル(遊離基)
とは・・・※がん用語辞書からの引用

不対電子をもつ原子団・原子または分子

反応性の高い化学物質で、しばし酵素を含み分子が分裂して不対電子をもつ産物が生じる時(酸化と呼ばれる過程)に発生する。フリーラジカルは、DNAや脂質といった重要な細胞分子や、細胞の他の部分を損傷する事がある。  

このような機構が障害を受けフリーラジカルを分解できなくなると、がん・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・リウマチ・アルツハイマー・パーキンソン病、その他諸々の心臓などの生活習慣病、あるいは肌のしみや色素沈着などの加齢性変化など、様々な病気の発症や悪化、老化につながると考えられています 
 

通常電子は2対になっていますが、フリーラジカルは対の電子を持たない為、不安定で他の分しから電子を奪って安定しようとします。その時に奪われてしまった他の分子が不対になり不安定になるのでまた他の分子から電子を奪うという負の連鎖が起こります。
ある原子や分子から電子が一個なくなると、その物質は『酸化』された状態で、逆に対になる事を『還元』といいます。


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